海岸のごみはどこから来るのか?

海岸ごみはどこから来るのか?
台風の翌日の海岸には・・・

2019年10月13日。台風の翌日、大磯町北浜はごみで埋まりました。
海岸を覆うペットボトルや空き缶などの人工ごみ混じりの木くずの中で、ひと際目立ったのが、点々と転がる小さな白い物体。何かと思って近づいてみると、これらは全て一つのゴルフ練習場の名前が入ったゴルフボールでした。
その数、約300個。
約1kmの海岸にどうしてこんなに大量のゴルフボールが転がっているのでしょうか。これらは一体どこから来たのでしょう?
ごみの行方と土砂の流れが重なる

上は、台風19号通過直後の10月13日にNASAの衛星がとらえた写真です。相模湾に大量の土砂が流出しているのが見て取れます。真ん中のひと際大きく色が変わっている部分が相模川から流出した土砂です。

その相模川河口にあるゴルフ練習場の同日の様子がこちら。台風の影響で全面的に水没してしまいました。その際、ここから流出したのが前述のゴルフボール。これが相模川の西側へと流れていきました。
このゴルフボールの行方と川からの土砂の流れが一致します。

実際、今回の台風では、相模川の西側の海岸は、上の写真のようにごみで埋まりました。このことから、この台風後の海岸ごみの多くは、川から流れてきたと推測できます。

川から7割

種別 定義
放置ごみ 海岸で捨てられたごみ(例:海水浴客が残したごみ)
漂着ごみ 海岸以外の陸域で捨てられ、川を通じて海まで流出し、海岸に漂着したごみ(例:ポイ捨てごみ)
 海洋発生ごみ 海域で発生したごみ(例:漁具、海藻)

実際、財団が過去に行った調査でも同じ結果が出ています。海岸のごみというと、一般的に海に遊びに来た人が残していったものと思われがちですが、実はそうしたごみは全体の約3割に過ぎません。残りの約7割は川から来たことが分かりました。

どうして「川から」のごみと分かるのか? ー 見た目

では、海岸に落ちているごみを見て、どうしてそれがその場で捨てられたものか、それとも川から流れてきたものかが分かるのでしょう。財団では二つの観点で判別しています。
一つ目は「見た目」。写真は、川から流れてきた漂着ごみです。漂着ごみは、海岸までたどり着く過程で傷ついたり、汚れたり、劣化したりします。
一方、海岸に直接捨てられた放置ごみは、新品同様きれいで、その差は一目瞭然。明らかな違いがあります。

どうして「川から」のごみと分かるのか? ー 位置


二つ目はそのごみが落ちていた「位置」です。川から流れてきたごみは、上の写真のように波打ち際に帯状に漂着します。

一方、海岸に来た人がその場で捨てていく「放置ごみ」は波打ち際ではなく、写真のように海岸奥側に単独で落ちていることが多く、位置に大きな違いがあります。
見た目と位置、この二つの観点でごみを見ていけば、そのごみがどこから来たのか判別することができます。

「線」ではなく「面」

上の地図の赤い部分は、江の島のたもとに注ぐ境川の流域です。流域とは雨や雪が流れ込む範囲のことで、赤いエリアで降った雨は境川に流れ込みます。

この境川から流れ出たごみは、流れ等の関係で河口左側の約1㎞の海岸(写真上)に漂着します。その年間量、約100トン。この100トンものごみに対し、1kmの海岸「線」だけで取り組んでも解決しません。何故ならそれは雨水ともに広大な流域から来ているからです。海岸のごみ問題は、海岸「線」だけでなく、流域という「面」でも取り組んでいく必要があります。

まとめ 海のごみ問題は陸のごみ問題

街中を歩いてみると、意外にごみがあることに気づきます。自動販売機の周りに置かれたごみ、植栽に捨てられたごみ、集積場所からこぼれたごみ。これらの一部が風や雨などによって、川へ落ち、それが海までやってきます。
今日も、陸域のどこかで、海岸ごみの元が生まれています。少しぐらいならという気持ちで捨てられたもの、うっかりして結果的にごみになってしまったもの、ごみとなるきっかけは様々で、入口は無数です。しかし、出口は一つ。それが海岸。その結果が、ごみで埋まる海岸です。
海のごみ問題は陸のごみ問題。海岸でごみをしっかりと回収していくことと同時に、身の回りからごみを減らしていくことも大切です。ポイ捨てや不法投棄をしないことはもちろん、足元のごみを拾う、ごみの捨て方を少し気を付ける、その一つ一つの小さな積み重ねこそが海岸の未来を変えていきます。