2026ハイブリッド交流会(海ごみセミナー)
2026 ハイブリッド交流会(海ごみセミナー)
開催報告
2026年3月14日(土)、神奈川県横浜市の共創拠点「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab(リジェラボ)」にて、公益財団法人かながわ海岸美化財団主催の「2026ハイブリッド交流会」が開催されました。
本イベントのテーマは「-世界と現場をつなぐ-」。海に漂う一片のプラスチックごみが、いかに世界の大きな動きと直結しているかを紐解き、国際社会の動向と日本各地の現場での実践を結びつけるためのセミナーです。
当日は、会場に172名、オンラインでは332名と、合計504名の皆様にご参加いただきました。会場には、日頃からビーチクリーンに汗を流すボランティアや社会人、さらには環境政策を担う行政関係者や持続可能な未来を模索する企業の担当者など、立場や業種の垣根を越えて「海ごみ」という共通の課題に向き合う多様なプレイヤーが集結。世界の最新潮流と現場の実践知とが交差する会場は、終始熱い活気に包まれました。

■講演および発表
●講演「世界の海洋プラスチック問題への取組み これまでとこれから」
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン) 笘野哲史氏
笘野氏は、まず海洋プラスチック汚染の凄まじい現状を具体的な数値で提示しました。現在、世界全体で年間約1,200万トンのプラスチックが海洋に流出しており、これは約2トンのゴミ収集車が5秒に1台の割合で海にゴミを投げ捨てているのと同等の計算になり、対策を講じない場合、2040年には流出量が現在の約2.3倍に増加し、2050年には海にあるプラスチックの総重量が魚類の存在量を超えるという衝撃的な予測を示しました。
この危機を脱する鍵として、同氏は「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への移行を強調しました。これまでの「資源を採り、作り、使い、捨てる」一方通行のリニア(直線)経済ではなく、設計段階から「廃棄物」という概念をなくし、資源を高い価値のまま循環させ続け、さらには自然システムを再生する仕組みの必要性を訴え、国際社会でも、法的拘束力のある国際条約の策定に向けた政府間交渉が進んでおり、生産段階からの規制を含めた抜本的な改革が求められている現状が報告されました。

●発表1「ヤマハ発動機が挑む楽しいビーチクリーン器具の開発」
ヤマハ発動機株式会社 臼井優介氏
「社会課題を楽しみながら解決し、最高の感動体験を届ける」。ヤマハ発動機の臼井氏は、この企業哲学を胸に、トング等の従来の道具では回収が困難だった砂浜のマイクロプラスチックを効率的に収集する専用器具の開発に挑んでいます。自身が離島・沖永良部島で直面した海洋プラスチック問題の衝撃を原点に、かながわ海岸美化財団からのアイデアや、異業種パートナーである日本発条(ニッパツ)株式会社からの技術サポートを受けながら、進化を遂げてきた「海ごみ収集機」の歩みが披露されました。
開発は平坦ではなく、昨年発表した「初号機」は重すぎて砂が落ちないという課題に直面しましたが、臼井氏は「改良の余地しかない」と前向きに捉え、絶え間ない現場検証を重ねました。改良の結果、最新の「3号機(コンセプトモデル)」は収集効率と操作性を大幅に向上させ、環境省主催の「プラスマ・アワード2026」拾う部門で銀賞を受賞するまでに至りました。誰でも簡単に、そして「楽しく」ゴミ拾いができる未来を作るための同社の挑戦は、現場主義のモノづくりの好例として注目を集めました。

●発表2「人を守る、海を守る 海からはじまる循環の話 下田のビーチクリーンと、アパレル業界サステナブルの現在地」
株式会社シップス 高梨勝央氏
「人を守ることが、海を守ることにつながる」。シップスの高梨氏は、静岡県下田市で30年以上継続してきた「SAFE & CLEAN」活動の根底にある想いを語りました。ライフセーバーが「人を守る(SAFE)」ことで、海を訪れる人の中に安心感が生まれ、その結果として「自分たちの手でこの海をきれいに保ちたい(CLEAN)」という自発的な意識が芽生える。この「人を守る仕組みがあるからこそ、海を守る行動が育つ」という思想が、単なる環境美化活動を超えた地域文化として定着している歩みを紹介しました。
さらに、2022年からは行政や企業と連携した「下田モデル」の循環を本格化させています。海岸で回収されたペットボトルを繊維原料として資源化し、ライフセーバーが着用するユニフォームとして再生。自分が拾ったゴミが誰かを守る服になり、直接感謝の言葉をかけられる。この「資源の循環」と「人の循環」を重ね合わせることで、サステナビリティを一過性の活動から「見える形のストーリー」へと昇華させる同社の先進的な挑戦が披露されました。

●発表3 「なぜ、アウトドアウェア会社が食品を作るのか?」
パタゴニア プロビジョンズ 大野由紀恵氏
「新しいジャケットは5年か10年に一度しか買わない人も、一日三度の食事をする。我々が本気で地球を守りたいのなら、それを始めるのは食べ物だ」。この創業者の言葉を掲げ、なぜアウトドアウェア会社が食品を作るのか、その真意が語られました。現代の工業型農業は土壌を枯渇させ、温室効果ガス排出の大きな要因となっていますが、これを環境を「再生(リジェネラティブ)」させる手段に変えることこそが、パタゴニアが食と農業に取り組む理由です。
同社は「リジェネラティブ・オーガニック認証(ROC)」を推進しており、具体的な製品として、長い根を持ち土壌を修復して炭素を隔離する多年生穀物「カーンザ」を使用したビール、そして福島の仁井田本家と協働し、日本で初めてROC認証を取得した日本酒「やまもり」などが紹介されました。消費者が日々の「食」を選択することが、地球を破壊するのではなく修復させる大きな力になることを、力強く訴えました。

●会場内のブース展示と特別な交流
会場を提供した「リジェラボ(YAMAHA MOTOR Regenerative Lab)」は、ヤマハ発動機の横浜オフィス内に位置する共創拠点です。廃材をアップサイクルした什器やアートワークが並び、来場者は空間そのものから資源循環の可能性を実感できる環境となっていました 。
●登壇団体による特設ブース
会場内には、各登壇団体のブースが設置され、登壇者と直接対話できる時間は、講演内容への理解をさらに深め、新たな協働の種を蒔く貴重な機会となりました。
さらに、海洋ごみとデジタル機器を組み合わせたアート作品を制作する「ピムリコアーツジャパン」の展示が行われ、独創的な作品群は参加者の大きな注目を集めていました。

●懇親会とネットワーキング
セミナー終了後の懇親会では、パタゴニア プロビジョンズのクラフトビールや自然酒「やまもり」なども提供され、所属や立場の垣根を越えた活発な意見交換が行われ、会場全体が熱気に包まれました。



世界と現場をつなぐ
海で拾うその一片のプラスチック。
それは、世界の動きと直結しています。
海洋プラスチック問題は、足元のごみであり、国際社会の課題でもあります。
WWFジャパンが語る「世界のいま」。
ヤマハ発動機株式会社/株式会社シップス/パタゴニア
各社が実践する“企業としての具体的アクション”。
世界の動きと現場の実践が一本でつながるセミナーです。
海洋プラスチック問題の最新の動向を知りたい方、
企業・団体等でESGのご担当の方、
普段ボランティア活動を行っている方、
海の環境に関心がある方、
ごみ拾いをやってみたい方
海岸・河川等において環境美化活動に取り組んでいるボランティア団体や企業、関係行政機関等だけでなく、海が好きな方ならだれでも参加OK。
環境問題に取り組む者にとって、この時間は示唆に富み、大きなヒントを得られること間違いなしです!
開催日時
2026年3月14日(土) 10:30~13:45(※オンラインは12:45まで)
会場
ハイブリッド開催になります。
〇会場参加:
・会場:YAMAHA MOTOR Regenerative Lab(リジェラボ)
横浜市西区みなとみらい5-1-2 横浜シンフォステージ ウエストタワー 9F
※横浜駅徒歩8分
※会場参加者用の駐車場はございません。近隣のコインパーキング等をご利用下さい。
※最後の懇親会ではアルコールの提供を予定しております。お車でご来場の方や運転のご予定がある方にはアルコールの提供はできませんのでご注意ください。
〇オンライン参加
Zoom(事前にZoomのインストールをお願いします)
タイムテーブル
| 10:15~ | 開場、オンライン入室開始 |
| 10:30~10:35 | オープニング |
| 10:35~11:30 | 講演「世界の海洋プラスチック問題への取組み これまでとこれから」 講師:公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン) 自然保護室 海洋水産グループ 笘野哲史氏 |
| 11:30~11:55 | 発表1「ヤマハ発動機が挑む楽しいビーチクリーン器具の開発」 発表者:ヤマハ発動機株式会社 技術・研究・デザイン本部 新ビジネス開発部 企画1グループ 臼井優介氏 |
| 11:55~12:20 | 発表2「人を守る、海を守る 海からはじまる循環の話 下田のビーチクリーンと、アパレル業界サステナブルの現在地」 発表者:株式会社シップス 社長室 高梨勝央氏 |
| 12:20~12:45 | 発表3 「なぜ、アウトドアウェア会社が食品を作るのか?」 発表者:パタゴニア日本支社 パタゴニア プロビジョンズ 大野由紀恵氏 |
| 12:45 | オンライン終了 |
| 12:45~13:45 | 懇親会 |
| 13:45 | 会場終了 |
※講演と発表では、それぞれの時間内で、質疑応答の時間を設けております。会場では直接挙手で、オンラインはではZOOMのQ&A機能を使用して、参加者の方から時間内で質問を募って、質疑応答の時間に回答いたします。質問の手順は、当日、説明いたします。
●講演「世界の海洋プラスチック問題への取組み これまでとこれから」
○講師
笘野哲史氏 [公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン) 自然保護室 海洋水産グループ]

○講演内容
世界の海洋プラスチック汚染の現状と今後の予測について既往報告のご紹介、そして世界の潮流や、国際的な条約や規制などの動きについて、私たちの生活や現場への影響も踏まえてご紹介する予定です。WWFジャパンの海ごみ低減にむけた活動についてもご紹介させていただきます。

▶公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
▶笘野哲史氏 プロフィール
●発表1「ヤマハ発動機が挑む楽しいビーチクリーン器具の開発」
○発表者
臼井優介氏 [ヤマハ発動機株式会社 技術・研究・デザイン本部 新ビジネス開発部 企画1グループ]

○発表内容
ヤマハ発動機では、かながわ海岸美化財団からアイデアやサポートを頂き、また、趣旨に共感頂いた日本発条株式会社から技術サポートを受けながら、トング等従来の道具では回収が困難だった砂浜でのマイクロプラスチックの収集に資する器具の開発をしています。
昨年のハイブリッド交流会では試作初号機の発表をさせて頂いておりましたが、それから1年経って器具がどのように進化してきたのか、また、ヤマハ発動機が本活動を通して目指している未来はどのようなものなのか、ご紹介させて頂きます。

左:臼井優介氏

●発表2「人を守る、海を守る 海からはじまる循環の話 下田のビーチクリーンと、アパレル業界サステナブルの現在地」
○発表者
高梨勝央氏 [株式会社シップス 社長室]

○発表内容
SHIPSが30年にわたり下田で続けてきた「SAFE & CLEAN」活動は、人を守ることから海を守る文化を育んできました。ライフセーバーが見守る安全な海を舞台に、訪れた人たちが「きれいな海を未来につなぎたい」という想いから自然に参加するビーチクリーン活動を展開。回収されたペットボトルは糸へと生まれ変わり、ユニフォームなどの“見える形”で循環。特別な意識や知識がなくても、その日をきっかけに海や環境の背景を少し考えるようになる、そんな取り組みです。いま日本のアパレルには、環境配慮を含めた多様なサステナビリティ行動が求められています。誰もが関われるかたちで未来を想い、次の行動へとつながっていく、持続可能な取り組みとしてお伝えします。
●発表3「なぜ、アウトドアウェア会社が食品を作るのか?」
○発表者
大野由紀恵氏 [パタゴニア日本支社 パタゴニア プロビジョンズ]


Taro Terasawa(C)2026Patagonia, Inc.

Taro Terasawa(C)2026Patagonia, Inc.
○発表内容
工業型農業は土壌を枯渇させ、水を汚染し、私たちの愛するアウトドアフィールドを脅かしています。地球を守り、私たちの未来を守るためには、より良い方法を見つけなければなりません。だから私たちは地球を破壊するのではなく、修復させる食品を作っているのです。
「新しいジャケットは5年か10年に一度しか買わない人も、一日三度の食事をする。我々が本気で地球を守りたいのなら、それを始めるのは食べ物だ」
− イヴォン・シュイナード、パタゴニア創業者
アウトドア企業「パタゴニア」の食品コレクション「パタゴニア プロビジョンズ」の取り組みをご紹介します。

Luke Peterson Kernza Farmer Dawson, Minnesota Amy Kumler(C)2026Patagonia, Inc.
参加方法
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- 会場参加枠は満席のため締め切りました。オンライン参加のみ受け付けております。
- 参加無料。
- 下記参加申込フォームよりお申込みください。
- 会場参加者用の駐車場はございません。近隣のコインパーキング等をご利用下さい。
- 最後の懇親会ではアルコールの提供を予定しております。お車でご来場の方や運転のご予定がある方にはアルコールの提供はできませんのでご注意ください。
- 会場参加申込の方は、入館に必要なQRコードを前日までにメールいたします。
- オンライン申込の方は、開催日前日までに当日の入室URLをメールいたします。
- 事務局からは、@bikazaidan.or.jpのドメインで送付いたします。
- お申し込みの際は、必ず受信設定を行ってください。
質疑応答について
講演と発表では、質疑応答の時間を設けております。
会場では直接挙手で、オンラインではZOOMのQ&A機能を使用して、参加者の方から時間内で質問を募って、質疑応答の時間に回答いたします。質問の手順は、当日、説明いたします。
懇親会について
会場内にアルコール、ソフトドリンクと軽食等を用意いたしますので、ご自由につまんでいただき、参加者同士での交流を楽しんでください。
※講師や発表者の方々も、参加される予定ですので、この時間に直接質問をすることも可能です。
●パタゴニア プロビジョンズのクラフトビールと自然酒の提供あり!
パタゴニアプロビジョンズのクラフトビール(ロング・ルート・ペールエールとロング・ルート・ヘイジー IPA)と自然酒「やまもり」が提供されます。(数量限定)
皆様、是非、ご賞味ください。
お車でご来場の方や運転のご予定がある方にはアルコールの提供はできませんのでご注意ください。
●リユース容器シェアリングサービス「Megloo」(メグルー)を利用
「すてる」から「めぐる」へ。懇親会で使用する容器は、リユース容器シェアリングサービス「Megloo」(メグルー)を利用します。

▶「Megloo」(メグルー)
主催・会場提供・問い合わせ先
〇主催
公益財団法人かながわ海岸美化財団
〇会場提供
ヤマハ発動機株式会社
〇問い合わせ先
公益財団法人かながわ海岸美化財団 0467-87-5379 info@bikazaidan.or.jp
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