海岸清掃事業 2024年度トピックス

海岸ごみ回収量 合計:2,121トン ( 可燃:1,622トン 不燃:205トン 海藻:294トン)
令和6年度は、非常にごみが多い年となりました。4月は、前年度末に襲来した春の嵐が残した大量のごみを処理することからスタート。5月に入ると周期的に雨が降り、そのたびに新たなごみが上がりました。6月は、台風並みの大雨に見舞われ、県内だけでなく、県外からのごみも漂着しました。
8月は、月末に襲来した台風10号がここ数年で一番のごみを海岸にもたらしました。9月~11月は、厳しい残暑の中、その片づけに追われました。
その後は、雨も少なく、落ち着いた状態が年度末まで続きました。


特に酷かったのが相模湾沿岸の東から中央エリアの海岸で、新年度は、そのごみを片づけるところからスタートしました。


近年、黒潮が大蛇行し、流れが通常より相模湾に近い状態が続いている影響で、黒潮に乗ってやってくる海外からのごみが大幅に増えました。
特に目立つのがペットボトルと漁業系のごみ。中でも牡蠣養殖用のカラフルな円柱状の浮きは各所で漂着しています。


茅ヶ崎市汐見台海岸で古いお菓子の袋を発見しました。
裏を返すと驚いたことに、賞味期限が昭和57年(1982年/回収時の42年前)と印字されていました。
海が荒れた後のタイミングで見つけたので、ポイ捨てされ海底にずっと溜まっていたモノが、波にかく拌されて打ち上がってきた可能性が高いです。
プラスチックは分解しないということが如実に分かるごみでした。
ゴールデンウィークから一気にBBQごみが増え、海岸には週末の度にBBQごみが大量に放置されていました。
余った食材、ビンや缶、さらには一度しか使ってない器材までもが放置されていました。
また、BBQの炭も自然に還るのではという間違ったイメージから砂浜に埋めていく行為が各所で散見されました。
5月中旬、相模湾沿岸にタールボールが漂着しました。
タールボールとは、船舶や海難事故等で流出した重油が粘着性のある塊となったもので、海岸には50mに一つほどの間隔で漂着しており、見つけたものは全て回収しました。
5月中旬、ミズナギドリの死骸が大量に漂着しました。
ミズナギドリとは、5月から6月にかけてオーストラリア南東にあるタスマニア周辺から北海道の根室沖に飛来する渡り鳥で、北上していく途中で悪天候などで命を落とした個体が毎年この時期に海岸に点々と打ちあがってきます。

6月18日に合計降水量が100ミリを超える台風並みの豪雨が降り、相模湾沿岸には人工ごみ混じりの木くずが大量に漂着しました。
特に酷かったのが葉山町から藤沢市にかけてで、海岸は砂浜が見えなくなるほどの大量のごみで覆われてしまいました。
さらに、一週間後には県外で流出したと思われる流木が強い南西風によって、鎌倉市など南西向きの海岸を中心に続々と打ち上がりました。
海水浴場開設直前で迅速な対応が求められたので、まずはごみを集積し、それから順次搬出していく二段階方式でごみを処理しました。
7月に入り、南風が強く吹く日が続いた影響で、相模湾全域に猛毒のクラゲ「カツオノエボシ」が大量に漂着しました。
カツオノエボシとは、長い触手に強力な毒を持つクラゲで、沖合に浮かんでいる個体が南風によって海岸に吹き寄せられてきたと思われます。
触れると非常に危険なため、SNS等を通じて注意喚起を行いました。
8月末の台風10号は、この年一番のインパクトを海岸にもたらしました。
8月22日に発生した当初は、小笠原諸島の南方からまっすぐ北上してくる予測でした。しかし、西に進路を変え、あまり関東地方には影響がないかと思われましたが、毎時15kmという非常にゆっくりとした速度で進んだ影響で、神奈川県では長時間に渡って台風の遠隔豪雨に見舞われ、海岸には災害級のごみが漂着しました。
特に状況が酷かった平塚市・大磯町・二宮町・小田原市では緊急清掃だけでは対応が困難だったため、平塚土木事務所および小田原土木センターのご協力も得ながら、海岸の復旧作業を行いました。
9月から11月頃まで、厳しい残暑の中、台風10号が残したごみの処理が続きました。
ごみには木くずだけでなく、人の体ほどもある太い流木も含まれており、流木を処理場で処理できる大きさに切断する作業に非常に手間がかかりました。
12月に入り、やっと台風10号のごみ処理も終わり、安定した天気が続くようになりました。
台風10号によってそれまで陸域に溜まっていたごみが全部吐き出されたことと、降雨が少なかったため、相模湾沿岸は非常にキレイな状態が3月まで続きました。
8月から12月まで延べ147日間、直営部隊が海岸清掃に取り組みました。
直営部隊は、ごみが多い海岸を中心に清掃を実施し、約292トンのごみを回収することができました。